小説・漫画好きの感想ブログ

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「美味しんぼ」102巻 雁屋哲/花咲アキラ著 

 「美味しんぼ」コミックス最新刊です。
 最近では面白くなくなって来たので、あえてわざわざコミックスを買わなくなってしまったこの「美味しんぼ」でしたが、今回は最後のけじめで買いました。
 というのも、この「美味しんぼ」のメインテーマだった親子対決が和解という形で解決した、言ってみれば事実上の最終巻だったからです。
 「美味しんぼ」は一番流行ってた二十年くらい前の当時から、単なるグルメ漫画というだけでなく、色々なテーマがその中に詰めこんでありました。IWCも絡めた捕鯨と食文化の問題。オレンジやレモンに代表される輸入食品のポストハーベストの問題。有機農業についての問題。食品添加物や化学調味料についての問題。などなどの社会派ネタなテーマが、単なるグルメ漫画の枠にとらわれずに啓蒙的に取り入れられていました。しかし、物語のメインテーマはそういう要素とは別の、この山岡士郎海原雄山との対決という父子対決こそがメインテーマだったと思います。
 みんながみんな思っていたと思いますが、どうしてそこまでムキになるの? と画面に突っ込みたくなるくらいにケンカするこの二人。徐々にお互いを認めてはいくんだけれども、それでもやはり乗り越えられない壁があっての二人の対決に、周りの人間がやきもきするというのがこの漫画のドラマのメインにありました。それが、この巻ではようやくというか、あっけなくというか和解が成立します。長年のあの確執を見て来ただけにこれだけで本当に丸くおさまるのかなというくらいにあっけなさすぎなんですが、まぁ、きちんと和解しました。
 長かったです。102巻、十数年越しの親子喧嘩なんて初めてみましたし、今後も見ることはないでしょう。
 それがこの102巻で終わりました。
 ここんとこ、「美味しんぼ」は、(あくまで個人的な見解でいえばですが)どうにも面白くなくなっています。ストーリー作りができなくなったのか、ストーリー漫画というよりは、「食いしん坊万歳」的な各地の郷土料理紹介漫画になってしまい、漫画としてのパワーはべた落ちです。今後についても、どうやらこの巻を最後に「究極のメニュー」対「至高のメニュー」のメイン料理人は、帝都新聞と美食倶楽部側は良三がメインになり、東西新聞側は飛沢がメインになってと、どうやらキャラ的にも弱くなっていくみたいだし、そうなると余計に面白くなくなるでしょう。
 だから、自分の中ではこれが本当の事実上の最終巻かなと思います。
 今扱っているテーマは「食の安全」などという、まことに時宜を得たものであるんですけれど、漫画として面白くなければ本でいいやという話ですからね。

美味しんぼ 102 究極と至高の行方 (ビッグコミックス)

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