小説・漫画好きの感想ブログ

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「FLIP FLAP」 とよ田みのる著

 今年、189冊目の紹介本です。 
 先日ちらりと予告的に書きましたが、本作はとよ田みのるさんの読みきり作品です。とよ田さんといえば「ラブロマ」のブレイクで一世を風靡した漫画家さんでしたが、不思議な味のあるタッチと台詞まわしは健在で、非常にオーソドックスで安心できるラブコメです。
 注目すべきは、主人公が高校卒業時にダメもとでヒロインに告白して、つきあう条件として出されたのが彼女が通うゲームセンターのピンボールマシーンでUFO氏が残したハイスコアを越えることという奇妙さ。いまどきの時代にピンボール?(ピンボールそのものを知らない人もいるような時代です)という感じですが、それがまたマニアックにいいんです。
 ピンボールってのは皆さんもご存知のように、とにかく集中力が非常にいるし、ひと遊びするのに結構時間もかかります。けれど自分が操作できるのは左右の指でたたく二枚のフラップのみ。直径1インチの鉄の球をその羽で狙いすまして打ち返すしかプレイヤーには許されていません。けれど、その球がボード上を縦横無尽に駆け巡り、妙にキッチュで派手でどぎつい色彩の光と音の共演を奏でる様子はなかなか楽しくて、まさに1コインゲームの王様なんじゃないかなどと自分は思たりしているので、このピンボールをメインにしたという時点で、この作品はかなり評価大です。
 まぁでも、このあたりは村上春樹の「1973年のピンボール」ではないですが、世代的なものもあるかも知れません。昔は町の銭湯にいってもピンボールが置いてあったし、小さい頃毎日のように入り浸っていた動物園にもピンボールはありましたが、最近では大きいゲームセンターでも置いていないとこがありますからね。
 結構あれ、面白くてすぐに時間たつし、熱くなっちゃうんですけれどね、勿体ない。
 本作ではそのあたりの魅力もうまく表現されているので、興味をもたれた方は是非。
 

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)


 追記:レトロなもの好きな自分は、今日も今日とてDVDで松田優作の「蘇る金狼」なんて見ながら打ち込んでいます。たまたま昼間に見た「デスノート」の藤原竜也の次の主演映画「カメレオン」の番組宣伝でこの「カメレオン」がそもそも松田優作用に準備されていた映画シナリオだというのを聞いて、ちょっと松田優作作品を見たくなったのでした。持ってたけれど見ていなかった作品ですが、これがなかなかに面白いです。