小説・漫画好きの感想ブログ

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「百舌谷さん逆上する」 篠房六郎著

 ツンデレ。
 俗説としては、普段はツンツンしているけれど、二人の時にはデレデレするタイプの女性指す用語となっていますが実はこれがちゃんとした病名で学術用語だというのはご存知でしょうか?
たまたま上記のようなツンデレの説明がすごくわかりやすかったために浸透してしまっていますが、これは心理学的な用語で、本当は発見者のドイツ人心理学者の名前を取ったもので本来の病名で「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」といいます。 
 器性質系統の異常で「DNAの異常によって、誰かと仲良くしたいと思ったときや好意をもった時に普通の人とは逆に攻撃的な言動や行動をとってしまい、それを自覚しつつも抑制できないもの」を指すとされています。アニメでのエヴァンゲリオンの「アスカ」等が有名になってしまった為にツンデレという言葉が一人歩きしてしまいましたが、本来はそういう病気なのです。

 なんていう嘘っぱちな話を真面目に大上段の設定で作っておいた上で、学園ラブコメギャグ漫画ととして笑わせてくれるのがこの「百舌谷さん逆上する」という作品です。篠房さんといえば、今までは仮想世界を舞台にした「ナツノクモ」や「空談師」などの作品が有名でしたが、本作ではネットではなく現実世界での小学生ギャグ漫画です。ものすごく方向が違うものになりましたが、意外にこれがけっこう笑わせてくれます。
 片田舎の小学校に転校してきた、小学校5年生の百舌谷小音は金髪・お嬢様・ロリータの外見の典型的なツンデレの女の子。ただこの作品世界では本当にツンデレは病気なので、クラスのみんなが仲良くしようとしても、罵詈雑言・暴力の嵐になってしまうので転校初日から周囲に人はいなくなってしまいます。そんな彼女になりゆき上下僕のように仕えるようになってしまったのはクラスメートのカバ夫こと樺島くん。彼は彼女がツンデレとは知らずに近づいて、ぼこぼこに殴る蹴るの暴行を受けた裸の大将のような冴えない小学生。殴られたということは愛されているのかと思いきや、彼の場合には、本当に少女特有の残酷さで、カバ夫はまったくかっこいいとこがなくて不細工だから殴るのに全く罪の意識を感じないからというひどい理由で彼をそばにおいています。ここに絡んでくるのが、小音が好きになった男の子の竜田君。彼はカノジョをからかいがいがあると思ってちょっかいを出していたんですが、その内彼女は彼のことを好きになってしまい、おかげで激しく暴力的な対応に出ることになり、、、と小学校五年生ながらむちゃくちゃ濃いギャグ漫画になっています。とてもドラえもんたちと同年代のドラマと思えない濃さです。
 絵柄的に好みが非常に別れる漫画だと思えるんですが、毒があって笑えるギャグ漫画でいくならこれくらいのノリとくどさもありかなと思います。全然ノーマークで単行本が出て初めてしった漫画ですが、笑わせてくれました。
 

百舌谷さん逆上する 1 (アフタヌーンKC)

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