小説・漫画好きの感想ブログ

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「Tesoro オノ・ナツメ初期短編集」オノ・ナツメ著

 178冊目の紹介本です。
 今日は更新とかせずに早めに寝ようかと思いますので、更新はこの一冊だけ。
 最近ブレイク加速中のオノ・ナツメさんの初期短編集です。オノさんといえば「リストランテ・パラディーゾ」といい「ノット・シンプル」といい「さらいや五葉」「GENTE」といい、独特のタッチと独特の味のある画面構成で映画を見ているかのような、空気を読ませる漫画家さんですが、この初期短編集もそのあたりの特徴がとても濃く出ています。
 タッチも荒く、描きこみも少なめですが、今のオノ・ナツメの特徴的なところは既にここに現れています。不器用だけれど、しっかりとそこにある愛情や気持ちの揺れを表現する強い力をもった目の描写や特徴的なボディバランスの頭身。もろちん、台詞まわし。全てが、どの一ページを見ても、これはオノ・ナツメさんだよねと必ず言わしめる雰囲気がそこにあります。 
 そして嬉しいことには、(たぶんこれは狙った効果だと思うんですが)今回は本の装丁という部分でも、より親密感のある本にこの一冊は仕上がっています。どういうことかというと、この本は、わりとぶあつめのざっくりと荒い紙質に、緑や茶色のインクで印刷がされていますが、それがまるで同人誌や学校での文芸誌のような雰囲気を醸し出しています。各地のコミケや夏コミ(或はファンロード)などを思い出させて、なんだか手作り感といったらいいすぎですが、そういう心安さ,親しさを演出してくれています。
 中身がいいのもそうですが、せっかくの漫画ですから、こういう仕掛けはとても嬉しかったです。
 ちなみに、tesoro(テゾーロ)とは、イタリア語で宝物を意味する言葉だそうですが、自分にとってもこの本はそうなりそうです。
 

TESORO―オノ・ナツメ初期短編集1998・2008 (IKKI COMICS)

TESORO―オノ・ナツメ初期短編集1998・2008 (IKKI COMICS)