小説・漫画好きの感想ブログ

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「偽りの名画」 アーロン・エルキンズ著

アーロン・エルキンズといえば、スケルトン探偵のギデオン・オリヴァーとジュリーの名コンビの方がポビュラーですが、彼のもう一つのシリーズも結構面白いのです。そんなわけで、パラパラと再読したので紹介。
 こちらの主人公はクリス・ノーグレン。
 サンフランシスコの美術館学芸員の彼にベルリンへの出張命令が下った。ベルリンで開催される「ナチ略奪名画展」という名画展の開催の手伝いのためだ。この略奪名画というのはナチス政権下でイタリア等から略奪されていた名画のことで、第二次世界大戦後に発見されたもののこと。名画展のそのイベントではイタリアの富豪に返却されていたオールドマスターズの名画達を中心に開催されるというのだ。美術学芸員にとっては心躍る企画でクリスは勇躍ベルリンへと渡る。しかし、彼の上司は、その名画の中に贋作があると思いがけないことを口にしたあと、歓楽街で殺されてしまうのである。一体誰に、何の目的で殺されたのか? そして贋作とされる作品はどれか?
贋作に美術展にナチスドイツ、ヒットラーか絡んでくるとなると、よく似た道具立ての作品がイメージされるかもしれませんが、そこはエルキンズの筆力で読ませる作品に仕上がっています。美術とか絵画とかに興味がないと(特にフェルメールの作品が苦手な人には)、面白さが半減してしまう恐れはありますが、これこそ映画にしてもらえたらかなり楽しめる作品なのではないかと思います。

偽りの名画 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

偽りの名画 (ハヤカワ・ミステリ文庫)