「紐と十字架」 イアン・ランキン著
goldiusさんから御紹介されていた一冊。
ジョン・リーバス刑事部長シリーズの第一作です。
刑事のジョン・リーバスが住むエジンバラでは、連続少女誘拐殺人事件が起こっていた。少女たちは人知れず誘拐され、そして絞殺されていった。ありとあらゆる可能性が検討され、捜査陣は死ぬほどくたくたに疲弊していくが犯人はおろか、被害者のつながりも目的も見つけられない。
ジョンは、その事件の捜査に駆り出されている中、謎の人物から不思議な手紙を受け取る。最初はただのいたずらだと思っていたその手紙こそは事件の真相に近づく重要なヒントだった。。。
ということで、ひさびさの硬質なミステリでした。
主人公のジョン・リーバスという刑事の造詣がなかなかに渋好みでよい感じです。彼は刑事になる前に陸軍特殊空挺部隊(SAS)に所属していた時期があるのですが、その時にあった事件がもとで極度のトラウマを持っています。そのトラウマと家族との過去が彼の性格に深い影と弱さを作っているだけでなく、今回の事件にはその過去が絡んでいます。彼は一体何にそんなに罪悪感を持っているのか。何が彼を追いつめるのか。
けっこう行き詰まるサスペンスミステリでしたのでお勧めです。
ただ、今回はその過去との対決があらゆる面で物語に深みを与えていたのですが、次回作以降ではそれは要素の一つになってくるので、そこで彼がどんな風な動きをするのか、人物像が深まっていくのか、犯人達の造詣にリアリティは出てくるのかがまだわからないので、シリーズとしての評価は次回に持ち越しです。シリーズの何作目かの「青と黒」だかがけっこうたくさんの賞を受賞しているようですが、ミステリの賞ばかりはあてにならないケースも多いので自分で読んでまた感想などアップしていきたいと思います。
一作目の感想は非常に良かったです。
- 作者: イアンランキン,Ian Rankin,延原泰子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/04/08
- メディア: 文庫
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