小説・漫画好きの感想ブログ

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「カムイ伝」 白土三平著

 松山ケンイチが「デトロイトメタルシティ」のあとにこの作品をやるとなるということで、ぱらばらと読み返してみました。この作品、中学のときに全巻読んだのですが、今読み返してみるとえらい話ですね。同じ白土三平の「サスケ」とはえらくテイストもタッチも違います。
 主人公は、非人出身のカムイという抜け忍で、彼は身分制度の重さから抜けだすために公儀隠密の下忍として活動していたが、その任務中に徳川家康の秘密を知ってしまったがために命を狙われることとなり抜け忍として追っ手といつ果てるとも知れない戦いの道へと落ちていきます。そして、このカムイの姉のナナと結婚したのが、同じく非人あがりの正助。彼はもともとがそういう出自ながら智慧と努力で農民の困窮を救おうとするが、なかなか報われない状態を過ごす。
 全編を通しては再読して読み切れなかったのですが、とにかく思っていた以上に、中学生の時は読み取れなかったものも含めてかなり重い作品でありました。当時は、学校で江戸時代の身分制度で士農工商やえた・非人というのを習ったばかりで、こういう事なのかと上っ面でわかったような気になって(もちろん忍者アクションものというのもあって)読んでいましたが、今読むと本当に重い作品です。
 調べてみると、第三部も予定されているとかで、なかなか深い作品です。
 ちなみにソフトティストになっアニメの「カムイ伝」こそが、サザエさんの前番組であり、この「カムイ伝」がなければサザエさんがあの時間でここまで国民的番組になることはなかったかも知れません。

カムイ伝 (1) (小学館文庫)

カムイ伝 (1) (小学館文庫)

 追記:映画といえば、この「カムイ伝」をやる松山ケンイチくんもそうですけれど、最近の若手俳優さんとかには映画にばんばんと出る映画メインの俳優さんも増えてきていてそれはそれで嬉しいですね。女の子でいえば京極夏彦の「魍魎の匣」や「リアル鬼ごっこ」に出ていた谷村美月さん。彼女は、その「匣」以降も公開直前の「神様のパズル」に続いて、その後には乙一の「死にぞこないの青」、そして梅図かずおさんの「おろち」に出演決定とか。こうやってばんばんと出る映画があるというのは、裏を返せば邦画そのものがちょっと復調してきた証かも知れないですね。