小説・漫画好きの感想ブログ

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「渡職人残侠伝 慶太の味」1巻 早川光/橋本狐蔵著

 笑えます。
 「きららの寿司」で、主人公のきららの最大のライバル役であった「坂巻慶太」。彼を主人公にした番外編がこの「慶太の味」です。タイトルに渡職人残侠伝とあるように、この作品それ自体が昔懐かしい昭和の時代の博徒もの、任侠もののテイストを色濃く出しており、そのあたりが非常に笑えます。舞台がその昭和初期とかのあたりなら違和感はないのですが、その渡り鳥っぷり、各地各地を放浪しながら自分の職人としての腕で事件を解決していく姿がおかしいです。
 もともとがこの坂巻慶太という寿司職人、寿司職人であるというのに筋肉トレーニングをかかさないマッチョマンだし、顔はいつもシリアス、グラサンをほとんど外さず、鼻筋から頬にかけてはゴルゴ13ばりの筋が入っていて、ファッションはまんまヤクザという無茶苦茶な人。それが任侠もののパロディのような世界で旅をしていくというのですから笑ってしまいます。
 作品的にはシリアスな感動も狙っている筈なんですが(確かにストーリーとしてはきちんとグルメ漫画であるものの、親子愛とか師弟愛とか夫婦愛とかきちんと書き込もうとしている)、この坂巻が悩むたびにふんどし一丁で裸で考え込むシーンは、どう考えても笑いを狙っているとしか思えません^^
また極め付きは、一話完結のその話のラストで出てくる、浪花節のナレーション。
 例えば、第一話はこう。
 胸に小出刃を忍ばせて ひとり身を引く職人仁義
 渡りの道は修羅の道 漢・坂巻何処へ行く
 続く二話はこう。
 一宿一飯 他生の縁と 人肌脱ぐも心意気
 人情(なさけ)の華を背中に咲かせ 漢・坂巻何処へ行く
 もう、これはグルメ漫画というよりは壮大なギャグ漫画になっています。「きららの仕事」はいったん完結して、いまは「きららの仕事 ワールドバトル」になりましたが、それとは別にこの「慶太の味」も進んでいくようですので、「きららの仕事」好きだった人は是非。

慶太の味 渡職人残侠伝 (ジャンプコミックスデラックス)

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