小説・漫画好きの感想ブログ

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「クドリャフカの順番」 米澤穂信著 

 米澤穂信の古典部シリーズ第三弾、文庫最新刊です。
 (実は、「遠まわりする雛」という第四弾がハードカバーの新刊で出ています)
 このシリーズは、主人公の折木奉太郎千反田えるが所属する「古典部」が学園生活の中でさまざまな謎や事件を解決する青春系ミステリで、米澤さんの得意分野の高校生大活躍ミステリです。今回は、前作まででさんざんネタ振りとして出されていた神山高校文化祭そのものを舞台にしたお話です。
 そして。 
 今までの「古典部」シリーズと違って、ストーリーに鬱屈したところがないという点で、個人的には一番楽しめた作品となりました。今までの古典部シリーズも確かに面白いし、主人公達の造詣の繊細さや叙情感に感動してきましたが、どこか作品全体に、エピソードの謎に哀しさが強く含まれていました。それ自体は決して悪い事でないし、作品に陰影が出ていて、より叙情的な作品になっていました。しかし、今作ではそういう重さが比較的薄くなり(もちろん事件の裏にはあるにはあるのですが)、読んでいてより純粋に楽しく読めました。
 たぶんそれは、物語の舞台が学園祭という非日常のお祭り空間だからということもあるでしょうし、その学園祭の中で起こる事件も学園探偵ものにふさわしい面白い事件だからかも知れません。その中にアクセントのように描かれる、古典部メンバーのそれぞれの悩みや苦しみも素晴らしく学校生活時代を思い出させるし、非常にいい作品だと思います。
 傑作です。文庫ですし、是非古典部シリーズ第一作の「氷菓」第二作の「愚者のエンドロール」もあせてお読み下さい。
 ・・・と書きつつも悩むのはアマゾンの自分のレビューで、ことごとく米澤作品のレビューはダメだしされていること。米澤ファンの人にダメだしくらっているんだろうけれど、、同じ作品のファンながら全作ダメだしされると読みどころを間違えてるのかなぁと若干不安だったりして。まぁ、レビューなんてものは最終的には自分がどう感じたかを書いていくものだから、参考にしたいと思う人の為に書いていけばそれで満足なんですけれどね^^

クドリャフカの順番 (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)