小説・漫画好きの感想ブログ

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「どきどきフェノメノン」森博嗣著

134冊目の紹介本です。
 森博嗣の非ミステリ系、ラブコメの一冊です。
 著者が楽しみながら書いたんじゃないのかなぁというのがひしひしと伝わってくる一冊。ストーリーもさることながら登場人物の一人一人、小ネタの一つ一つの向こうに読者を笑わせようとする森博嗣の意志が強く感じられます。そして、まんまと乗せられてくすくす笑いからそのうちニヤニヤ笑いがとまらなくなった自分がいました。笑いました。読んでいる行間の向こうに、森さんの笑顔が見えるような作品でしたね。
 ストーリーは、とある大学のドクターコースに在籍中の主人公が、講師の先生や、後輩のゼミ生の鷹野や水谷、友人の美穂、そして父の知り合いという謎の僧侶などと繰り広げるドタバタコメディもの。主人公の窪居佳那のキャラクターがとにかく変で変でたまりません。外見的にはそこそこクールで可愛くて、頭が切れて、立ち居振る舞いもまっとうで、料理もできるし、剣道もしちゃうという普通かそれ以上のレベルの女の子なんですが、実は酒癖が極端に悪く、妄想癖がはなはだしく、ストーカーっぽいし、変な癖も多いし、、とまぁ本当に変わった女性で、一人こういう人が身近にいて欲しいものだと強く思う人物です。
 好かれたり嫌われたり恋愛対称になると、どの場合でも面倒で大変でややこしいことになりそうなんで距離感が大変難しいんでしょうけれど、これくらい変わった子は見ているだけで飽きないでしょうねぇ。最近のXシリーズが今ひとつこう盛り上がってきていない感がある森さんですが、これは小説としては、全然方向性は違うもののとても笑えて面白かったです。
 是非この路線は路線で続けて欲しいです。
 表紙の雰囲気よりは遥かに面白い一冊です。