小説・漫画好きの感想ブログ

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「相棒シリーズ 鑑識・米沢の事件簿 幻の女房」 ハセベ・バクシンオー著

 映画も大好評の「相棒」の名脇役、鑑識の米沢を主人公にしたスピンオフ作品です。
 映画版の裏ストーリーということで、映画を見る前に読むとまずいのかなと思っていましたがそんなに気にすることはない完璧な別物の物語という事で楽しめる作品です。
 ストーリーは、ドラマでは六角精児が演じている警視庁の鑑識要員の米沢氏を主役に据えてのミステリ。東京マラソンの参加者の中に、自らの別れた妻にそっくりな女性を見つけた米沢はその女性の行方を調べ、職場を訪ね、アパートの前迄行くものの、どう声をかければいいか迷ったあげくに結局そのまま引き返してしまう。しかし、その数日後、彼女がまさにその日、アパートで自殺したというニュースが飛び込んでくる。鑑識として現場に向かった米沢は彼女が、自分の別れた女房とは瓜二つだけれど別人であるということにほっとする米沢。部屋には遺書らしきものもあり、青酸カリを飲んで死んでいるのを見つかった彼女は、一見自殺のように見えるが、どうもひっかかる。死んだ女性の元カレの刑事とともに捜査を開始した米沢たちだが、警視庁の上のほうから二人には圧力がかかる。実は彼女の上司が元警視庁キャリアで、どうやら彼女にセクハラをしていたらしい。。。
 ということで、TVシリーズの主人公の二人、片山右京亀山薫もほとんど出てこない、本当にスピンオフの作品となった本作。軽くてサクサクしすぎているという気もするものの、TV版でも独特のあの愛嬌のある雰囲気と仕草の米沢氏を主人公にうまく話はまとまっていて、ファンであればとても楽しく読める作品に仕上がっています(逆にTVを全く見ていなくて、純粋に刑事ドラマが読みたいと思って手にとってしまうと物足りなさ過ぎると思う恐れ大なので注意です)。「相棒」のファンならば買って損はないと思います。逆に、「相棒」は好きだけれど、ふだんはあんまり小説とか読まないという人は小説を読むきっかけにできるくらい読みやすいので一度手に取ってみてもいいんじゃないでしょうか。
 

相棒シリーズ 鑑識・米沢の事件簿?幻の女房?  (宝島社文庫―「相棒」シリーズ)

相棒シリーズ 鑑識・米沢の事件簿?幻の女房? (宝島社文庫―「相棒」シリーズ)