小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「王様の仕立て屋18」 大河原遁

 パリの名門ブランドのリヴァルの総帥であるオヤジさん、イギリスのブランド乗っ取りに力をいれるギルレーズハウスについた長男のエリック・リヴァル、主人公のもとに逃げ込んでいる弟のセルジュ・リヴァル。それぞれが各ブランドの対面と威信を賭けて戦う羽目になった壮絶な親子喧嘩。巻き込まれる方はたまったものではありませんが、偉大で専制君主的な父を越えるための戦いには息子達も一歩もひかず前17巻から続いた戦いはいよいよ佳境です。
 ということで、この18巻はそれぞれが意地をかけてぶつかる戦いの巻で、戦いの素材はイタリア輸入の純度100%のカシミアを使ったスーツの仕立て。中国高地やカシミール地方のカシミア山羊から取れるそれを使っての仕立て勝負となります。それぞれがそれぞれのイギリス仕立て、フランス仕立て、イタリア仕立てで勝負するのはなかなか見ものの戦いです。同じスーツ一つとってもお国柄が出ていていつもながら興味深いです。
 また、そういう物語の合間合間にも主人公の織部悠は、イギリスのチョコレート職人の為に一着、没落貴族のために一着、環境保護運動かの為に一着と仕立てをこなしていき、そのそれぞれに蘊蓄と面白さがあります。ストーリーやネタに関して、本当にどこまで引き出しがあるのかますます楽しみなシリーズです。

王様の仕立て屋 18 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)

王様の仕立て屋 18 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)