小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

ネタバレ感想 映画「相棒ー劇場版ー」

 さっそく映画公開初日の本日見に行ってきました。以下ねたばれあるので注意。
 この何度も何度も新シリーズが作られる人気TVシリーズの映画ということと、初日二回目の上映ということもあってお客さんは超満員でした。年末から最近まで5本ほど見た映画の中で一番の観客の入りだったのではないでしょうか。けっこう年配の方も多く、幅広い層の支持を得ているのが分かる客の入りでした。
 さて、本作はテレビドラマのスペシャルバージョンということで、主役の二人、警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)だけでなく、岸部一徳や鈴木砂羽、六角精児、角田六郎などのレギュラーの脇役はもちろん、TVストーリーでも時々でてくるだけながら重要な役割を担っている木村佳乃や西村雅彦、津川雅彦などの面々も登場。しっかりとTVファンを意識したキャスティングになっていました。
 それでいてストーリーは番組宣伝やTVでのCMで流されていた「東京ビッグシティマラソン(実際の石原都知事が頑張ったのも同じ名前でしたっけ?)当日のテロにまつわる事件」というのはほんの表向きで、事前情報では流されていなかったとある事件がメインに話は展開していきます。その事件とは、中東アラブのエルドビアで反米ゲリラによって起こった邦人誘拐事件でした。そう、実際のあの中東での事件とオーバーラップする事件なのでした。退去勧告が出ていたはずなのに、NPOのボランティア活動をしていてゲリラにつかまって日本政府に莫大な身代金と軍隊の退去を要請されたあの事件です。
 あの事件についてのマスコミの論調と政府のやり口の犠牲になった人質の友人が連続殺人犯となって事件を起こしていくのを、特命係の二人が阻止するというストーリー。捉えようによっては、また議論を呼びそうな展開ですが、本作では日本のその時の対応に対して怒りを覚えて復讐に走る犯人をどちらかといえば肯定的に描いていますが、それに対してしっかりと右京が「理解はするけれど、やりかたが間違っています」とキッチリNOを突きつける事で、また映画の中でしっかりと決着がつく事で非常に見応えと納得のいく話になっていて、単に人気ドラマの映画化という枠にとらわれず、映画単体としても本当によく出来た映画になっています。
 ストーリーはかなり詰め込みすぎた部分もあるものの、杉下右京の頭脳とチェス好きという特徴と、亀山薫のガッツと肉体派という特徴をしっかりと描き、なおかつ周囲の人物のキャラづけもしっかりと押さえて、TVファンも初めて見る人にもどちらが見ても納得できるバランスをしっかりと取っているのが見受けられ、よく脚本を練っているなというのがわかります。特に今回の事件の背後にある社会的な面などはこのシリーズの特徴でもあり、本当によく出来ていました。
 見るまでは、自分はTVドラマシリーズが好きだからある程度楽しめるだろうけれど、出来が悪かったり、初めて見る人にとっては全然面白くない出来だったりしたらどうしようかと思いましたが、十分に面白い映画になっていて良かったです。これを見て、そこからTVシリーズに移る人もたぶんたくさん出るんじゃないかな。そんな出来でした。
 ちなみに、この劇場版はテレビ朝日50周年記念映画ということだそうです。
 
 公式サイトはこちら→http://www.aibou-movie.jp/#