小説・漫画好きの感想ブログ

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「多重人格探偵サイコ」12巻 田島昭宇×大塚英志


 
 刑事である筈の人間が、快楽殺人犯と関係がある。
 その刑事も実は多重人格者だった。多発する大量殺人・猟奇殺人事件の犯人や犠牲者の何人かは目にバーコードがついているという異常な共通点があった。彼らの裏にはなんらかの秘密実験がなされていた。或は秘密組織がからんでいた。その名はガクソ会。彼らはクローンさえも作れた。日本では背中に翼のある人間が殺されるという事件が続いた。
 などなど。話が転んで膨らんで過去にさかのぼり、拡大し、交錯し、どんどん混沌としていっています。正直、すでに作者がどこを目指しているのか、話の終結点がどこにあるか十数年来読み続けている人間にもわからなくなってきています。一巻が出たときは、猟奇殺人や多重人格といったテーマが話題の最先端であったことや、田島氏の絵柄が非常にスタイリッシュで独創的でクールだったこともあり、また大塚さんも得意のカウンターカルチャーを前面に出して展開していて、わくわくドキドキでしたが、だんだんとトーンダウン。今のこの作品のレベルは最初の頃に比べるとずいぶんと落ちています。 
 その上でこの12巻の帯には「ついに最終章!」となっています。最終巻ではなく最終章、ということでまだまだ話は続くようでここまできたら最後迄つきあいますが、最後にもう一波乱と盛り上がりを見せて欲しいところです。広げた大風呂敷も伏線も回収してばっちりと最終回を迎えることを期待します。