小説・漫画好きの感想ブログ

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「非属の才能」 山田玲司著

 118冊目の紹介本です。
 山田玲司の新書サイズの論文です。
 主張する内容は、タイトル通りに「どこにも属さない。属することができないことこそが大きな才能で成功できる人間の資格なんだ」という事に尽きます。いい意味でも悪い意味でも、そこに全てが集約されています。いい意味というのは、それを自分自身のことだけでなく、彼がインタビューしてきた色々な人のエピソードや本で読んだいろいろな人を例に傍証をもってきて説明しているところ。悪い意味でというのは、あくまで成功例だけもってきていて、属さなかったために潰れた人、不本意な一生を送った人についてあまり触れていないところです。
 この本の主張するところを表面だけ読んでいけば、学校での規則、組織でのルール、まわりに合わせることの協調性(本文中ではそれは協調性というよりは同調させようとする圧力に屈することとされます)、標準的な生き方、そういうものはあまり意味のない、悪くいえば島国根性の才能を潰すものでしかないという風に捉えてしまうし、そういう集団としての生活の価値であったりそこここの現場で自分のことを真剣に指導してくれる人の事を軽く見てしまうことになってしまいます。そのあたりの危惧をものすごく感じてしまいました。また、その主張自体があっているか間違っているかは別として、その主張が冒頭にあげたような一文だけで集約されてしまうという点が、本としての内容が薄いなと言わざるを得ないのが残念です。
 山田玲司さんといえば、伝説的な恋愛漫画の「Bバージン」という作品で有名な方で、個人的には漫画はすごく好きなんですが、これについては評価低いです。それに、漫画家さんなんだから、やるなら同じ主張・テーマを漫画でズバッと描いてくれるほうが嬉しいです。
 ということで、評価は5の2です。

非属の才能 (光文社新書)

非属の才能 (光文社新書)