小説・漫画好きの感想ブログ

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「床下仙人」 原宏一著

 前々から、タイトルにひかれてすごく気になっていた本でしたが、ようやく読むことが出来ました。
 ジャンルは、なんといえばいいのでしょうか、長目のショートショート。言葉的には矛盾しますがそんな感じで、少し変わった話を膨らませて書き込んであります。けれど基本的にはワンアイデアワンストーリーで、ホラーに走ったり猟奇にいったりはしません。あくまで安心して読める感じの作風であり、小説範囲です。
 ただし、その不思議感に隠れてけっこう笑えないというか身につまされる現代社会への風刺が入っていて、そのあたりの味がけっこう好みかも知れません。例えば表題作の「床下仙人」、これも風刺がきいています。ストーリーとしては、郊外の新居に家族も知らぬうちにいつの間にか男が一人住みついているという話なんですが、これが奥さんが気付き、そして主人が気付き、気付いた以上退治でもするのかと思いきや、その男はだんだんと家族に受け入れられていくという変わった展開をします。しかし、その男のために主人は、、、というこの話のオチが非常に風刺的ですし、ばかばかしいです。
 まぁ、解説しがたい雰囲気の小説で、レビューを書くとなると非常に難しいのですが、ユーモアと風刺と妙な読みやすさが結構くせになるタイプの作品です。あと何作か出ているようなのでまた読んでいきたいと思います。
 

床下仙人 (祥伝社文庫)

床下仙人 (祥伝社文庫)

 予告:佐伯泰英の「上海」、坂木司の「動物園の鳥」、山田玲司の「非属の才能」、J・P・ホーガンの「星を継ぐもの」、A・エルキンズの「古い骨」などがアップ予定のラインナップに入っています。どうしてだかまた最近アマゾンはアップが半分くらいはじかれちゃいます。