小説・漫画好きの感想ブログ

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「水滸伝十九 旌旗の章」 北方謙三著

 111冊目の紹介です。
 北方水滸伝、最後の一冊です。
 毎月一冊一年半に渡って文庫刊行されていた長い長い水滸伝の物語もこの巻で終了致しました。原作と大きく違って物語中盤から次々と命を落としていった、梁山泊の英傑たち。晁蓋が、林沖が、魯智深が、秦明が、次々と命を落としつつも宋という国と信念をかけて戦いのうちに命を落として行きました。その彼らの最後の戦いがこの巻で語られています。
 ただ、正直、予想していたような形での終わり方ではなかったので驚きました。ここまであれだけ激しい戦闘につぐ戦闘の物語だっただけに、ここでいよいよクライマックスとして、総力戦の末のはっきりとした結末がくると思っていました。原作を大幅に変更していただけにどういう形になるかは別として、童貫率いる禁軍との戦い、ひいては宋との戦いに決着がつくと思っていました。
 しかし。物語はそういう終わり方はしませんでした。確かに、宋江率いる「水滸伝」の物語としては、最後の最後に、象徴的な「替天行道」の旗のエピソードで幕が降りました。
 でも、本当の意味での物語はまだまだ終わらないまま、新しい楊令の物語に引き継がれていきました。
 正直、これはかなり意見が割れる終わり方だと思います。個人的には、あくまで水滸伝の物語としてここで完璧な形で物語に結末をつけて欲しかったなという気がします。楊令の物語は物語としてまた別に続「水滸伝」という形にして、ここまでの結末を物語的に付けて欲しかったなと思います。なんだか最後がちょっと残念な終わり方という気がします。途中迄がものすごく面白く、盛り上がっただけに逆にすごく残念です。

水滸伝 (19)  旌旗の章 (集英社文庫)

水滸伝 (19) 旌旗の章 (集英社文庫)