「死者の書」 ジョナサン・キャロル著
チベット繋がりというわけではないけれど、無性に「死者の書」が読みたくなって本屋さんで一冊購入して再読しました。今読むとちょっと最初のあたりが読みづらいんだけれど、読み始めたら一気呵成、最後まで一気に読んでしまいました。
十年以上前になんの予備知識もなしにこの作家のデビュー作にぶつかった時にもあまりに衝撃的過ぎてただただ圧倒されましたが、今回も同じでした。何回読み返してみても、ストーリー展開もさることながら、プロットに、描写力に、巧みな言葉遣いに、そして独特のタッチに、やっぱりただただ凄い、才能ってこういうことをいうのだなと絶賛の言葉以外に送る言葉が思いつきませんでした。完璧すぎます。
ストーリーは、ダークファンタジーの名にふさわしい不思議な物語。有名な映画スターの息子トーマス・アビィは、有名人の息子ということにうんざりし続けていたが、彼にとっての永遠の文学的アイドルにして謎の多い童話作家のマーシャル・フランスの伝記を書くべく、同じくフランスの熱狂的なファンの女性と一緒に彼が終世住み続けたゲレインの町に赴く。町へと行く前にフランスのエージェントだった男からいろいろと情報を仕入れたいた二人は用心深く町へとついたが、いきなりフランスの娘に正体がばれ、状況は思いがけない方向に転がっていく。村人の態度にいぶかしいものを覚えながら、伝記に着手するトーマスはだんだんと何かがおかしい事に気がつき始める。アメリカの田舎町を舞台に展開される不思議な物語。
前半はスロースタートですが、中盤からはページを繰る手をとめさせてくれません。
海外小説を読む愉しみをとことん味あわせてくれる一冊です。最大級のお勧め作品です。
- 作者: ジョナサン・キャロル,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1988/07
- メディア: 文庫
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