小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「聖☆おにいさん」 中村光著

 アップしたと思っていてすっかり忘れていた一冊です。
 主人公は、ブッダとイエス・キリスト、天界の二大ヒーローです。
 この二人がバカンスのために下界の日本に降りて来て川崎の6畳一間のアパートに下宿しているという設定のギャグ漫画です。キリストとブッダという、おしもおされぬ知名度抜群の二人を主人公にしたギャグ漫画というキワモノだけに、外すとかなりキツい作品になりそうなのですが個人的には結構ツボで面白かったです。
 ブログにはまっていて、妙に俗っぽいキリスト。我慢すると聖痕が出て血を流すキリスト。
 子供に額のポッチリをつつかれて涙するブッダ。感動して得の高い発言をすると後光が光るブッダ。
 この二人が漫才をしたり、遊園地にいったり、プールに泳いでいったり、雨に降られたり、貧乏暮らしで大家さんにびびっていたりとその昭和初期的シーンごとに宗教エピソードに絡めたギャグが満載でかなり癒されます。
 一つだけエピソードを紹介すると、腹がすいたけれど外は雨で外にでたくないというキリストを部屋に残して出て行くブッダ。「一人で買い出しになんか行かせられないよ」と引き止めにかかるキリスト。しかし、ブッダはすぐに帰ってくると、キリストに対して「はい、夕飯」と皿に石ころを載せたものと、コップに水を注いで渡します。そしてごろりと寝転がるブッダ。そんな姿勢に思わず涙目になるキリスト。ブッダは一言「あれ? 石をパンに、水をワインにできたよね?」と。涙を浮かべながら「だからってこんなの! どこの鬼嫁かと思ったじゃない!」と詰め寄るキリスト。いやぁ、この感じ、いいですねぇ。
 ひょっとしたら一部マニア向けかも知れませんけれど、三宅乱丈の「ぶっせん」とかあのあたりの漫画が好きだったらはまるかと思います。

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)