小説・漫画好きの感想ブログ

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「グリーン・レクイエム」 新井素子著

 本当は、この「グリーン・レクイエム」とその続編の「緑幻想-グリーン・レクイエム2」との合本を今読んでいるわけですが(当然近々アップします)、ひさびさに読んだところ、この「グリーン・レクイエム」という作品がすごく良かったので敢えてアップしたいと思います。こ作品、もうかなり昔の作品ですが、日本SF大賞受賞の大傑作です。
 東京で植物学を学ぶ青年、信彦。彼はまだ小さい頃に彼の住む田舎のさらに山奥で緑の髪の少女に出会っていた。
 緑の髪の人間なんているはずがない。そう思いながらも、その少女の面影に恋していた信彦はそれが縁で植物の研究に没頭していた。そんな彼が大学のそばの喫茶店で見かけた少女、明日香。彼女は驚くほどにその思い出の少女に似ていた。腰まで伸びる髪、日本人離れした白い肌に、華奢な身体。思い出の少女にそっくりだった。いつしか彼女の事をもっと知りたいと思うようになった彼は、彼女が昼休みの20分ほどいつも日なたぼっこをしているのを知る。そんな彼女を毎日眺めているだけの彼だったが、ある日、意を決して彼は彼女にその想いを伝えようとした。しかし、それこそが悲劇の始まりだった−。
 異星人とのコンタクトをからめたラブストーリーは短いながらも感動的で、大学生の時に読んだ感動が再び甦って来ました。
 すごく短い作品だし、SF作家としての新井素子さんを未読の方には入門編に一番の作品ではないでしょうか。