小説・漫画好きの感想ブログ

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「喰いタン」10巻 寺沢大介著

 食べて食べて食べ尽くして事件を解決する名探偵、高野聖也の事件簿の最新刊です。
 例によって例のごとくで、あいかわらず圧倒的な食欲をもって食べ物の話を主軸に事件を解決するというこのシリーズの基本ラインは今回もかわりません。ただ、この巻では計画的な殺人事件が起こらなかったこともあり、けっこうほのぼのとしたイメージのある一巻になっています。
 今回取り上げられる料理は「すき焼き」「天ぷら」「うなぎ」「スズキのお造り」「カレー」「海老フライ」と日常料理(カレーはどうみても既に日本の標準食になってしまっていますので)ばかりですが、それらをうまく使って話を転がしています。日常料理ばかりだから、あっと驚くようなすごいトリックは出て来ませんが、いつもと同じで楽しく読ませてくれます。
 ファン的に面白かったのは、70話の「元天才料理人の店で舌鼓を打つ」の巻の日没食堂のエピソード。日没食堂という名前も、出てくる元天才ちびっ子料理人ヨーイチという名前も、同じ寺沢大介の漫画の「ミスター味っ子」の主人公・味吉陽一を思い起こさせます。同じ作者ならではのパロディなんですけれど、寺沢作品のファン的にはけっこう笑わせていただきました。そのうち「将太の寿司」の彼も出てきてくれるんじゃないでしょうか。

喰いタン(10) (イブニングKC)

喰いタン(10) (イブニングKC)