小説・漫画好きの感想ブログ

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「骨の城」 アーロン・エルキンズ著 

 発見された骨から、その遺体がどんな人物でどんな習慣をもってどんな生活をしていた人かまで当ててしまうスケルトン探偵のギデオン・オリヴァーのシリーズ最新作。そのシリーズ第13作にあたります。
 今回の舞台は、イギリスの片田舎の島。スターキャッスルという、かつてイギリスでは要塞であり要人の牢獄として名をなした場所となります。
 ここに主人公のギデオンは、恋人でパークレンジャーのジュリーとともにやってきます。
 いつもは、ギデオンの学会発表にジュリーがついてくるというパターンですが、今回はジュリーが(私的なものとはいえ)環境学会でフェローの一人として研究発表をするという事で彼はその付き添いで島にやって来るのでした。会議自体に興味がもてない彼は、博物館の館長に頼まれて、その島によく流されてくるという遺骨の調査をしてみるのですが、すると驚くべきことに昔の時代の骨と思われたものが実は最近バラバラに切られた(つまりは意図的に破壊された)骨であることが判明。のどかな暇つぶしは、一転して島始まって以来の殺人事件の調査となってしまいます。そして、そうこうするうちに、もう一つの殺人事件が起こり。。。
 これ以上はネタばらしになってしまいますが、いつものように骨から事件を解決していくスケルトン探偵の鮮やかなお手並みが見られます。
 が、強いて言えば、ちょっとマンネリになってきているかなぁという気がしないでもありません。骨の謎を解いて生前の姿を導きだすのも鮮やかだし、観光案内のような情景描写も丸、色々な登場人物が出てくるのも問題なし、ですが、ちょっとパターン化してきたのと、主人公達があくまで探偵役になりきってしまっていて、主人公達に危険が迫るといったような、或いは一刻もはやく事件が解決しないと被害者がどんどん増えるといったようなスリルやサスペンスな部分が薄いので、ページをくるのももどかしく、といったような切迫感がないのが強いていえば弱いとこと言えるでしょう。
 好きなシリーズだし、あくまで高いレベルの中での気になる点、なんですけれどね。

骨の城 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

骨の城 (ハヤカワ・ミステリ文庫)