小説・漫画好きの感想ブログ

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「カスに向かって撃て!」 ジャネット・イヴァノヴィッチ著  

  
 バウンティハンターの、ステファニー・プラムシリーズの10冊目、最新刊です。 
 このステファニープラムのシリーズ、前作の「九死に一生ハンター稼業」までは扶桑社ミステリー文庫で出ていたのですが、この「カスに向かって撃て!」から集英社文庫に鞍替えしていまして、今後は集英社文庫で出るようです。これで、今までこのシリーズを知らなかった人にも認知度があがるでしょう。
 このシリーズ、個人的にはかなりツボなシリーズなので、嬉しい限りです。
 さて、このシリーズ、どんなお話なのかといえば、保釈保証人逮捕請負者(バウンティハンター)という日本では馴染みの薄い職業につくステファニー・プラムというイタリア系アメリカ人の女性が繰り広げるドタバタミステリーコメディです。バツイチで、なりゆきでバウンティハンターになったステファニーは、バウンティハンターなのに犯罪者を打ち倒す技術や体力もなければ暴力沙汰は大の苦手、拳銃も撃てません。そして、超がつくほどの不運の持ち主でいつもいつもわけのからないトラブルに巻き込まれ(まぁ半分は自分から招いているのですが)、いくら買っても買っても彼女の乗る車は爆発炎上する羽目になります。
 そんな彼女ですが、彼女のまわりには彼女を憎からず思う、幼なじみにしてトレント警察の二枚目敏腕刑事のジョー・モレリ、同じ事務所に所属するひたすらセクシーで暴力の匂いをまきちらすレンジャーという二人の男性が常にそばにいます。おともには、元売春婦で巨漢の女性ルーラ、祖母でありながらそんじゃそこらの人間ではたちうちできないぶっとんだおばあちゃんのメイザという名脇役が常にいて話を盛り上げます。
 今作でも、偶然の不幸な出会いから地域のギャング軍団の標的にされ、命を狙われ車も破壊され、ついにはプロの名の通った殺し屋にまで命を狙われる羽目になったステファニー、それを周りがサポートしつつ事件を解決するという、それだけきくととてもシリアスなミステリー展開が、実際にはひたすら笑えるコメディ路線になっています。やりたいことをしたいようにやる、ややこしいとでも勢いでつっこんでしまう、ダメとわかっていてもついついいらない事をしてしまうステファニーに引っ張り回されつつ楽しんでいる周囲のドタバタが巻を重ねるごとに、いい意味でのマンネリで楽しめます。
 シリーズ途中からだとちょっと微妙なとこもありますけれど、アメリカらしい笑いのドタバタミステリでお勧めです。

カスに向かって撃て! (集英社文庫 イ 4-1)

カスに向かって撃て! (集英社文庫 イ 4-1)