小説・漫画好きの感想ブログ

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村上春樹原作映画 トニー滝谷

村上春樹の話題でいえば、いま旬なのはもちろんのこと『ティファニーで朝食を』です。が、今日感想を書くのはそちらではなく、彼の短編小説であるトニー滝谷という作品の映画のほうです。
自分の中ではどうしてだかほとんど印象がない短編だったので一瞬小説を読み直してから映画見るべきかどうか悩んだんですが、結果はそのままゴー。見てしまいました。
 ストーリーは、さる中年のイラストレーター、トニー滝谷の人生を綴ったものです。人生においてずっと孤独で、あまりに孤独でありすぎてその孤独に麻痺してさみしいとか悲しいとかの感情すら欠落していた彼が、中年になって初めて恋に落ち、結婚し、その妻を失ってしまったその後が描かれます。美しい妻が普通でなく大量に残した服。彼はそれを使って奇妙なことをするのですが、、、
あとは映画本編を見てのお楽しみになりますが、この映画、分類でいうとミニシアター系とでもいいましょうか、非常に地味です。暗いです。わるくいえば寝ちゃいそうになります。ストーリーに起伏がすくないのはしかたないとして、もうちょっと映像や見せ方、カット割りに工夫ができなかったかと残念な仕上がりです。
主演にイッセー尾形、妻とアルバイト女性の一人二役に宮沢りえ、音楽が坂本龍一と結構いい感じのキャストで費用もかかっているだけに勿体ない感が強かったです。
確かに、宮沢りえがいかに服の似合う女優かというのは認識できたし、村上春樹作品全般に通底する「喪失感」はみごとに表現されているんですがね。
これ、数年前に撮られて公開されたんですが、評判とかもあまり聞かなかったし、是非とも見た人の感想をききたいものです。