小説・漫画好きの感想ブログ

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『ウォッチャーズ」上巻  ディーン・R・クーンツ著

 将来有望な作家、経験な司祭、キャリアを積んでいままさに飛躍しようとする女性外科医、いたいけな子供、田舎の静けさが売りのドライブインの主人。アメリカの各地で彼らは皆とある日から何かのきっかけでこの世のものとも思えない恐怖を味わい体が動かなくなってしまいます。最初は、わけもない恐怖感だけだったものが、そのうちにその場の全て何もかもを投げ出しての遁走や、失禁にいたるまでになってしまいます。彼ら自身、この変調の理由がわからず、予兆に恐怖し、徐々にそれが悪化していくことにも恐怖感を募らせています。アメリカの各地でそれぞれがわけもない恐怖におびえ始めてしばらく、彼らのつながりが徐々に徐々に明らかになっていくとともに、彼らの恐怖はとある記憶を自ら封じ込めているが為だと理解されていきます。彼らは一体、何に恐怖し、何を見たのか。
 この本、読み進むのになかなか時間がかかりました。
 特に上下巻の上巻の、そのまた前半部分。最初にそれぞれが突然に恐怖におびえていく姿がたんたんと描かれていくシーンがとてつもなく長く感じられて何度も中断してしまいました。女性外科医が過去催眠で記憶を取り戻そうとするあたりからはじょじょに物語は加速し、面白くなっていくのですが、そこまでが長い。スロースターターな作品です。あまりにスロースターターに感じてしまうのは、自分がいつの間にか短い話、丹念に世界観を作り上げる小説から最近遠ざかっていた為? とか色々考えてしまいました。が、中盤からは加速して面白くなっていくので下巻でいかなる展開、ラストがあるのか非常に楽しみです。
 

ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)

ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)


 
 追記、北方謙三の「水滸伝」の17巻、スイスの国防マニュアル、ジャネット・イヴァノヴィッチのステファニー・プラムシリーズ最新刊の「カスにむかって撃て」、伊坂幸太郎の「死神の精度」など順次アップ予定です。