小説・漫画好きの感想ブログ

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「香菜里屋を知っていますか」 北森鴻著

 「香菜里屋」シリーズの最新作にして、最終巻です。
 前巻の「蛍坂」でもちょっと予兆めいた話はあったんですが、その危惧が現実化してしまいました。
 すごく残念なことですが、この巻でこのシリーズは完璧に完結となりました。ファンは、もうビアバーの工藤さんの「お帰りなさい」の声も「いいものが入ったんですが・・」との声とともに供される素晴らしい料理の数々も、「こういう考え方もできますが」と披露される見事な名推理ももう聞くことができません。いいシリーズだっただけに残念極まりないですが、北森さんのことですから、また素晴らしいシリーズを作ってくれると信じましょう。
 そして、著者の北森さん自身もこのシリーズを終わるのには名残惜しかったのか、このシリーズ最終巻では、とあるバーマンが店を畳む話にまつわる謎、かつての同僚の香月大吾の身辺の変化、常連客の人生の契機の話、そして香菜里屋そのものの閉店の話とすべてにきちんと結末を設けてくれています。全編を通じて別れを告げるような構成です。 
 また、ファンサービスにと、最後に設けられたタイトル作「香菜里屋を知っていますか」では、「雅欄堂」シリーズの越名集治「冬狐堂」シリーズの宇佐見陶子「蓮城フィールドファイル」シリーズの蓮城那智などがオーキャストで登場して、工藤が修行していた店を辞めた理由についての謎が解き明かしてくれます。
 最終巻ということで、ファンサービスもたくさん詰まった一作です。シリーズファンなら必ず読むべき一冊です。
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香菜里屋を知っていますか

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