小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「メイン・ディッシュ」 北森 鴻著

 中国産の冷凍餃子の問題、かなり広範囲に被害が出そうで怖いですねぇ。普通の家庭用だけでなく業務用。しかも、中国で作っているなんて思わなかったミルフィーユカツ(某丼屋さんとかカレー屋さんとかでみるのはひょっとして??)だとか、スープ系の商品にもメタミドホスが混入しているかも知れないだなんて、あまりに危険すぎます。メタミドホスっていう農薬、効果的なとこでいえばサリンとかVXガスなんかと同じであると書いてあるホームページなんかもあって、いやはや恐ろしい話です。
 しかし、粉もん文化の中心地大阪に住んでいるだけに小麦の値上げからひしひしと食料自給率の悪さが気になってくる今日この頃、こういう事件まで起こると中国をはじめ各国からの農業製品にもかなり危機感を抱くし農業が先細りになっていることにガソリンの問題も大事だけれど国会議員のセンセイは動いて欲しいなぁ。自民も公明も民社も。福田首相、株価下落でも一向に動かず、つなぎ法案も、「あんまり知らないことで」なんて言ってるんだから、これくらい動いて下さいませ。切に要望します。ハンドボールのオリンピック予選のやり直し(あ、男女とも負けたんでよね、残念)での中東はクェートの次期国家元首さんにも困ったもんですが、この中国の問題は本当にちょっとなんとかしていただきたいです。
 食べ物は、人間が生きていく上で一番大事なものの一つです。 
 年を取ったときに、安全な食べ物がないなんてことだけは絶対に嫌ですからね。環境問題で頑張ってるかたわらでそんなんになったら本当のに片手落ちなもので。
 とも前フリのはずの話がえらくなりましたが気を取り直して本編。

 
 「メイン・ディッシュ」 北森 鴻著


 さて、まず最初に書いちゃいますが、この本は5段階評価で間違いなく5の評価の出せる傑作作品です。
 また、北森鴻らしい特徴が随所に見られる、ある意味、もっとも北森鴻らしい作品ともいえます。
 例えば、短編連作集が一つの長編を形作って行くという構成スタイル。これにはいつもながら本当にうまいものだと感心するより他はありません。そして、作品タイトルからも分かる通りですが、他の作品同様に、今回もまた腕利きの料理人と料理が出てきます。そしてまた、その料理が非常に美味しそうで思わず何かちょっと手のこんだものが食べたくなるところなど、まさに北森鴻ならではです。
 今作は、「ミケ」という謎の料理がうまい同居人と、彼を拾ってきて一緒に暮らしている劇団紅神楽の座長兼看板女優のユリエ、そして狂言回し的に絡んでくる座付き作家の小杉を中心に彼らの劇団やその関係者を巡るミステリと、「ミケ」こと三津谷修の過去と正体が軸となるもう一つのミステリが複雑に絡み合って進んでいくお話なんですが、シリアスな部分とライトな部分のバランスが非常によく、また作品の各短編のテイストも楽しいものからきつしものまでバラエティに富んでいてまったく飽きさせず、構成でいえば完璧の一語につきます。
 北森作品に詳しい人なら分かってもらえるかと思いますが、「冬狐堂」のシリーズや「蓮城那智」のシリーズをシリアス路線、「裏京都の有馬次郎」や「親不孝通りディティクティブ」をライト路線とするなら、その中間あたりでうまくバランスが取れています。テイスト的には「香菜里屋」シリーズに近いですが、もう少し笑えたり幸せになる要素が増えた感じでしょうか。
 単行本から文庫に落ちた時に、ファンなら思わずニヤリとするようなボーナストラック的なものを入れてサービスしている部分もあり、単行本でしか読んでいない人も是非読み返すと思って(それでも十分面白いので)また読んでも全然損はないと思います。ひさびさに読むと叙述トリックにまたはまったりして再読にも耐える一冊です。お勧め。
 にほんブログ村 本ブログへ.

メイン・ディッシュ (集英社文庫)

メイン・ディッシュ (集英社文庫)