小説・漫画好きの感想ブログ

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「アタマはスローな方がいい!?」 竹内久美子著

 こんばんは、樽井です。
 今年20冊目の本&漫画紹介です(あとで集計するときに分かりやすいように数えてみました)。
本書は、竹内久美子さんの遺伝子学から見るよもやまエッセイと素朴な疑問解説エッセイのシリーズ文庫最新作です。竹内さんは、本書でもいつにもまして、思いっきりと歯切れのよい断定口調で世の中の人が不思議に思っていることや当たり前だと無視している事についてばんばん語り尽くします。例えば、「鳥にはどうしてペニスが存在しないのか?」「自閉症が男の子に多いのは?」「ナマケモノが絶滅しない不条理」「BSEの発症メカニズム」「歯並びが悪いのは日本人だけ?」というようなタイトルでどんどん語ります。
 生物学者の中には、主義主張が違うという人も多いんでしょうし、話としては筋は通っているけれど学問の価値を下げているというご意見の教授型もおられると聞きます。しかし、凝り固まった常識やら間違ったまま流布している常識を覆し、そして物事に全く違う捉え方をする見方を示唆しているという点において、多少の誤りがもし少し含まれていたとしても、それでも十分に価値があると思います。むしろ、微妙な言い回しや他の学説に固執して批判をする人のほうが人間が小さく思えます。
 それくらい、いつもながら竹内さんのエッセイは切れが良いです。
 いつものように「嘘だぁ」「冗談でしょ」と最初は思わせるものも、豊富なデータや遺伝子学的な説明を加え、最後には「なるほど」「へ〜」と唸らせたり納得させてくれます。そして、読んでいるほうはいつしか、色々な見方をするようになっていたり、いろんな雑学を自然と学んでいます。
 例えば、今回知った雑学でいえば、パンダ。パンダが笹をひたすら食べる草食動物だということは皆さんよくご存知だと思いますが、そのパンダが実はもともとは肉食動物だったのが比較的近い時代に草食動物になったのは皆さんご存知ですか? 知らなかったことないですか?  自分は知りませんでした。草食動物が植物だけ食べて生きて行けるのは、肉食動物が分解・栄養にすることができないセルロースを分解する酵素をもち、内蔵が植物を消化するのに適した形をしているからなんですが、パンダはそれがかなり後々で食性を変化させたのでそれが足りず、普通の草食動物の何倍も何倍もの量を食べて栄養を補っているそうです。そして、普通の動物よりパンダは指が1本多い6本指なんですが、これも肉食動物のときの熊の手では笹が食べれないので、あとづけで6本目の指が笹を食べやすい形にしてできたというのは(もちろん突然変異の上での固着ですが)なかなか面白いと思いませんか? こんな不思議と感嘆がユーモアたっぷりに語られる本書はとてもお勧めです。
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遺伝子が解く! アタマはスローな方がいい!?

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