小説・漫画好きの感想ブログ

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「センゴク」15最終巻  宮下英樹著

 おはようございます。
 お正月も三日目になってきて、何もしていない筈なのに、だいぶんと疲れてきました。テレビも今年は妙にだらだらとした感じのものが多くて、これはというものにあたらず(「相棒」のスペシャルとかは結構良かったけれど)、飽きて来ました。昨日はちょっと神戸まで足を伸ばしてみましたが人の波でよいそうでしたし、何より福袋をたくさん抱えた女性軍のパワーに圧倒されました。バーゲンの時のあの助成のパワーは凄いですね。フロアが違っても何かこう興奮と熱気が伝わって来ます。
 ということで、気分切り替えて本の御紹介ですが、今日紹介するのは「センゴク」。仲間由紀恵の「ゴクセン」ではありません。戦国と主人公・仙石権兵衛の通称「センゴク」をかけたネーミングです。その戦国が第一部の最終巻が出たので御紹介です。

 物語は、木下藤吉郎(のちの羽柴、豊臣です)配下の仙石権兵衛を主人公に、織田信長が信長包囲網の前に苦しみ抜いた末、激戦で浅井長政を破る所までを描いています。無骨で純真で無鉄砲で思慮のなかセンゴクが男として人間として幅を広げて成長していく姿を描いた本作は、絵柄も含めて見応えがある漫画です(合戦シーンの迫力や泥臭さなどはかなりのものです)。登場人物である、織田信長やキ豊臣秀吉明智光秀などもあまたの漫画で描かれていますがそれらのパターンに類似しない描かれ方をされており、特に豊臣秀吉については今迄読んだ漫画の中で一番人間らしい描かれ方をしていると思われます。これは、作者がこの作品をたんなる軍記もの、戦闘ものではなく、人同士の愛憎ものとして考え、そこにもかなりの紙幅を費やしたことで得られたものでしょう。実際、各キャラクターの戦時故の恋愛話にもかなりのウェートを置いています。
 そして、その反面、史実を踏まえてということで、著者はかなりの数の当時の史料に目を通した後がみえ、ところどころでそれらの史料からの引用や、かつまた史料通りでは話の辻褄があわない部分などについては大胆な推理や注釈を作中で加えており、そのあたりは歴史好きな人にとっても読み応えがある仕上がりで好感が更にもてます。
 ということで、ベタほめですが、絵柄が女性から受けるかどうかは別として筋立てや構成など考えるとかなり高い評価ができる作品で、第一部完というのが「打ち切り」という意味ではなく、第二部へ続くことを期待します。
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センゴク(15) (ヤングマガジンコミックス)

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