小説・漫画好きの感想ブログ

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グインサーガ118巻 「クリスタルの再会」 栗本薫著

 前作でタイス編を終了したグイン・サーガの最新刊。
 本編では、記憶を取り戻すために旅立ったグインの最初の目的地であるパロへ、魔導師宰相ヴァレリウスの手配のもと無事辿り着きます。タイトルにあるクリスタルの再会は、当然ながらケイロニア王のグインとパロのリンダ王女との再開を指しています。この長い長い物語の最初に出会った、グインとリンダ。シチュエーションは奇しくもグインが記憶を失い、リンダが苦境にあるという大枠では同じシチュエーション。ただひとつの違いは、当時はまだまだ十四歳で男勝りでおてんばだったリンダが、一人の成熟した女性(とはいえ未亡人でありながら彼女はまだ僅かに21歳ではあるのだけれど)になっていたという部分。それが今後の物語にどんな展開を与えるのかが今後の読みどころといった所でしょう。ニュアンス的にもそれらしい描写が出て来ますし。
 著者御本人もおっしゃられているように、今回は間奏曲のような感じで「流れ行く雲」のとき同様に、それぞれの人物が今迄とこれからに想いを馳せる事がメインの大きな動きはない巻ですが、ブランの決断や、グインの記憶の謎や、二人が接触することで呼び覚まされる何か、などなど今後振り返ってみたときに「あれはつまりそういうことだったんだな」となる伏線が張られた巻でした(あとくどいくらいに現状確認がされるのは最近の悪い癖かも知れません)。
 個人的には、ヴァレリウスとリンダがひさびさに人間くさく書かれていたのが楽しい一巻でした。
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クリスタルの再会 (ハヤカワ文庫JA ク1-118 グイン・サーガ118)

クリスタルの再会 (ハヤカワ文庫JA ク1-118 グイン・サーガ118)