小説・漫画好きの感想ブログ

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「パンプルムース氏と飛行船」 M・ボンド

 テレビで、堤真一岡田准一の出てるSPのドラマ見ながら書いています。
 いや〜、二人ともかっこいいですねぇ。ほれぼれします。
 さて、昨日だったか一昨日だったか予告していた、ミシュランの覆面調査員をパロディのネタに使ったコメディミステリーが、このパンプルムース氏のシリーズです。けっこうたくさん翻訳が出ていますが、ちょうど手元に出ているのがなくて、4年ほど前の日記をもとに記憶で書いていきます。


 『パンプルムース氏と飛行船』 M・ボンド  創元推理文庫


 主人公の、パンプルムース氏はフランス警察の元警部。
 というといかめしいイメージをもたれがちですが、本人はいたってユーモラスでコメディーな人物。
 元警部のに、今ではグルメ情報誌のル・ギード(ミシュランと同レベルと見えて星の代わりに鍋を三つでレストランのレベルを現しています)の覆面調査員を仕事としている彼は、生まれついての食いしん坊という特質を上手く仕事に生かしており、そちらでの評価もじわじわとあがっています。その甲斐あってか、今作では、編集長のたっての希望で、フランスとイギリスを結ぶ新しい飛行船航路の就航式典のVIP用特別美食メニューを作る、というような特別任務を依頼されたりもします。
 そして、その依頼にこたえるためポール・サン・トーギュスタンの街へと向かったパンプルムースは、いつものようにまたまたドタバタな事件に巻き込まれます。
 基本的にドタバタコメディのこのシリーズでは、パンプルムース氏はいつもいつも色々なトラブルに巻き込まれます。
 特に女性関係のトラブルは生来の女好きもあいまって、毎度毎度懲りずに繰り返します。今回も、往路で知り合ったヤスミンというサーカスの看板娘は空中ブランコで失敗して死んでしまうし、サーカスの女座長であるゴム女とは一晩中身体がからまったまま身動きがとれなくなってしまうし、例によって例のごとくといった感じでドタバタ喜劇めいた殺人事件に巻き込まれていきます。
 特に、本作では、途中までもさんざんに事件に巻き込まれたいたにも関わらず、それでは飽き足らないとばかりに、最後の最後には彼の載った飛行船それ自体がテロリストの爆破予告の対象になるという、まぁなんというか実のところ彼自身が禍いを呼ぶ男なのではないかというくらいに事件に巻き込まれます。
 尤も、当のパンプルムースはいたってそれらには無頓着で美しい女の子のことと、料理のことにしか意識はありません。どんな料理を食べるか、どういう取り合わせで世界各地の美味しい料理を堪能するのか、それしか頭にありません。各地にある名物料理、三ツ星シェフのレストランでそれぞれのスペシャリテを食べること、合間合間に土地土地の名品を食べること、美味しいワインを飲むことにしか興味がありません。
 そのあたりがとにかく軽くて楽しいこのドタバタミステリのシリーズは、今回もその特性を生かしたままで快調に飛ばしています。 
 今回もくだんのパンプルムース氏の他にレギュラーメンバーとして、彼の相棒で元警察犬のポムフリット、そしてル・ギードの編集長、経理係のマダム・グラントが登場します。いつもの面々がくり広げる、いつものドタバタ喜劇を御堪能下さい。
 
 さて、著者名で気付いた人もいるかも知れませんが、このマイケル・ボンドは本国ならずとも「くまのパディントン」という童話の作者として有名な方です。そのためにマイケル・ボンドといえば、夢あふれる感動物の児童作品の作者としてのイメージの方が圧倒的だと思います。そして、この作品を読むとそのイメージががらがらと崩れる方も結構いると思います。だから、一応そういうのが嫌な方は読まないで下さい。原作者の御本人さえもこのシリーズを書くにあたっては、別名義でいこうかと悩んだくらいですから。ただ、そういう制約を抜きにして読めば大人向きの艶っぽい話もありのドタバタミステリでボンドシリーズとミシュラン覆面捜査員へのパロディとしても面白い作品です。
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パンプルムース氏と飛行船 (創元推理文庫)

パンプルムース氏と飛行船 (創元推理文庫)