小説・漫画好きの感想ブログ

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「王様の仕立て屋 16」 大河内遁著

 こんばんは、樽井です。
 今日も一日が終わりました。やっぱり夜になるとかなり寒いですね。この調子だと今年は雪が降ってつもるかも知れません。惜しくも時間が間に合わずニュースステーションの地球温暖化スペシャルは見逃してしまいましたが、この熱波の夏のあとの異常な寒さ(ひょっとしたら落差で感じるだけかもしれないけれど)はやはり何かおかしい気がします。
 ただ、何かおかしいと思っていても、だからどうするという所で大きなアクションが起こせていない我々一人一人もだんだんとおかしくなってきているのかも知れませんが。
 さて。
 
 王様の仕立て屋 16」 大河内遁著

 ナポリの下町で天才的な仕立て屋の技を揮う織部悠のお話も、かなりの長編になってきました。
 さすがに、それが16巻ともなると物語がまた大仕掛けになってきました。これまでも、たびたびオリベの腕前は、イギリスはジョンブル御用達のサヴィル・ロウや、フランスの老舗からも狙われてきました。最初の出会いがまずかったが為に正式に獲得にはこないもののナポリに進出しているジラソーレ社からも、常に高給で助っ人仕事に駆り出されています。 
 そんな悠ですが、今度はイギリス、フランス、イタリアを巻き込んでの新ブランドたちあげの職人引き抜き騒ぎに巻き込まれてまたまた渦中に投げ入れられてしまいます。なんだか中期の「美味しんぼ」を見るような感じで、服を仕立てるだけですべての難問を解決しなきゃいけない悠にちょっとだけ同情してしまいます。そして、ちょっとだけ話に無理が出て来ているなぁとも思います。
 ただ、この物語の面白さは、そういう筋立てだけでなく、その蘊蓄が面白いところにもあるので(そのあたりも「美味しんぼ」に似てもいますが、ただ「美味しんぼ」のような押し付けがましさがない所と楽しいトリビアであるところでこちらの方が好みです)、マンガとして読めば安定した面白さはあいかわらずきちんと提供してくれています。
 例えば今回の巻の中ではイギリス人の、午後の紅茶の時間の由来や意味等も当時の生活スタイルからきていることとしてなるほどと腑に落ちましたし、スコーンにつける生クリームとクロテッドクリームの差もばっちりわかりました。←まぁ、知ってる人は知ってる話かも知れないけれど。
 ともあれ、この漫画を読むと服について無頓着な自分ですが、いつかいい服を仕立てたいな等といつも思うのです。普段は雑な生活をしているだけに、少しゆったりとした気持ちでそういうものを欲しくなるというのもたまにはいいものです。 
 

王様の仕立て屋 16 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)

王様の仕立て屋 16 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)


 追記 なんだか比較の過程で「美味しんぼ」のことを厳しく書いていますが、先週・今週のビッグコミックスピリッツでの食品添加物の話は結構大事なことであるし、是非読んで欲しいなと思ったりしました。コンビニのお弁当に限らず、やはり何かがおかしいものは氾濫しているし、それに無頓着すぎるのも考えものだから、たとえだから明日から急に何かを変えられなくても知っておくに越したことはないという気がします。