小説・漫画好きの感想ブログ

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「ピギー・スニードを救う話」 ジョン・アーヴィング著

 
 こんばんは、樽井です。
 ただいま帰りました。今日は家人が麻婆豆腐を作ってくれるとかで、おとなしく待っています。黒胡椒と山椒がぴりりと効いた物が出てくればいうことはないのですが、まずは料理を自分で作らなくてもよい、誰かが作る料理があるということだけでも感謝です。特に昨日、今日は寒くて死にそうなくらいの六甲山での仕事があったので、暖かい食事は幸せを感じます。ちょっと前迄は暑くて死にそうだったのに、もう六甲山では来週くらいからは雪が降るかもとか、季節は急激に回っています。紅葉になったものが既に散り始めていたりしますからびっくりです。
 さて。
 今日は残念な形での、というか無念の本紹介です。

 「ピギー・スニードを救う話」 ジョン・アーヴィング

 長編作家、ジョン・アーヴィングにしては珍しい、短編集&エッセイ集です。
 結構貴重な、彼自身の物語を作るということについての本質的な話が出て来たりしているのですが、ごめんなさい。自分にしては極めて珍しいことなんですが、最後まで面白み、楽しみを見いだすことができませんでした。ジョン・アーヴィングという作家はあくまで自分の感覚ですけれど、長編のところどころで中だるみしてしまったり文章そのものが退屈になったりするけれど、素晴らしい一節や長い長い物語の中でのじわじわとした暖かみみたいなもので他の作家と一線を画す作家さんだと思うのです。
 だから、今回のような短編小説だと彼の長所が消えて、弱点が逆に強調されてしまっているのではないかなと自分は思います。あくまで、自分はという感想ですが。「サイダーハウス・ルール」や「ガープの世界」はまだこうくるものがあったのですけれど、今回はさっぱりでした。
 強いてこの短編集でよかったのはと言われたら「ペンション・グリルパルツァー」、逆に一番ダメだったのはと言われたら「もうすぐアイオワ」を挙げます。後者については、オチがなかったり、ちょっと壊れた人をたんたんと描くパターンの小説としてはレイモンド・カーヴァーのそれと同じなんだけれど、読後感や心にどこか残るという点ではそれは全然いけてない感じがします。
 ということで、この本に関してはあくまで自分の評価でいえばですけれど、ペケでした。 
 ひょっとしたら、最初の作品で身障者や知的障害者をからかうシーンがあつたので生理的にとことんひいたのが最後までひっぱかかったのかも知れませんけれど。

 

ピギースニードを救う話 (新潮文庫)

ピギースニードを救う話 (新潮文庫)