小説・漫画好きの感想ブログ

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ローマ人の物語30 終わりの始まり(中) 塩野七生著


 
 こんばんは。
 楽しい日曜日もあっという間に夕方です。
 日曜日の夕方「笑点」や「サザエさん」のやっている時間になるとブルーになるという話を聞きますが、いままさにちょっとそんな感じです。ああ、あち一日休みがあればなんか一日遊んだりするんだけれどなぁ。あるいは美食に行くとか。今日は何故だかテレビでは、料理人関係やレストラン関係のものが連ちゃんで流れているのでとくにそう思います。
 どっしりと正しい美味しさの丼だとか、スープにとことんこだわったラーメンだとか、或いはものすごくひさしぶりの贅沢だけれどフォアグラとかのったステーキだとか、ボルシチだとかでほくほく暖まるとかもいいなぁ。ジェノバソースのパスタもいいかなぁ。基本的に樽井はあれなんですよ、食べるのが好きな食いしん坊なもので。まぁ、紹介漫画の偏りからしたら察しがつきますか^^
 さて。美食といえば、おなかがいっぱいになれば食べたものを吐いてまで宴会を続けたという美食のローマの話に戻りましょう。


 ローマ人の物語30 終わりの始まり(中) 塩野七生

 五賢帝の時代が終わり、ローマが衰退していく時代を描いた「終わりの始まり」の三巻組の真ん中の巻です。
 本人自体は哲人皇帝として本当は戦争嫌いでいながらも、一生のうちの後半生はずっと戦陣の中で暮らさざるを得なかったマルクス・アウレリウス。ようやくと地の果てからやってくる新たなゲルマン民族との闘いに終止符を打とうとしたときには、彼にはもう残された時間がありませんでした。皇帝が死んだものと勘違いして勝手に即位した東方の司令官の反乱にも打ち勝ち、遠ゲルマン民族をも退け、息子のコモドゥスを皇帝にした後、彼は病によって死を迎えます。
 まるで三国志劉備が枕頭に孔明を読んで遺児となる劉禅を託したように、長きに渡るマルクスの治世の理解者である頼りになる将軍や・政策実行官僚に息子コモドゥスの事を託して逝ったマルクス(そしてそれに応えて息子に忠誠を誓い続けてくれた将軍)でしたが、まさか彼自身も息子がここまで出来が悪く後世に愚帝と呼ばれることになるとは思いもしなかったのではないでしょうか。
 息子コモドゥスは、勝ち戦であったとはいえ、即位後すぐにダキア戦役での戦線を停止、ゲルマン部族たちと調停をなし戦争を集結させてしまいます。当時の情勢からいえば、この時に徹底的にルーマニア辺りまでを属州にしていればその後のローマの崩壊を遅らせたのではないかと考えられますが、その戦争を手打ちにしてローマの都に戻ります。そして、、、政務にあまり関心は示さないながらも一応皇帝としての職務につきますが、2年後、姉のルチッラによる暗殺未遂を受けてからは完全に政治に対して投げやりになってしまいます。自分の部屋付きの解放奴隷に政治を丸投げし
てしまったり、自身が剣闘士として闘技場に出たりと皇帝にあるまじき事をしつくします。そして、最後の最後には愛妾とこれまた部屋づきの召使いに暗殺されてしまいます。
 始まりから終わりまで、皇帝にふさわしくないことづくしの僅か12年の在位で彼はその生涯を終えました。
 死後も、彼は元老院から記録抹殺刑という大変不名誉な刑を受けました。これによって、彼は肖像のすべてを打ち壊され、碑文等から名前を抹消されました。まさに、ローマ凋落の幕開けを予想させる皇帝でした。ローマ通史の「ローマ人の物語」も終盤に向かっています。
 この本では、そのあたりの事が淡々と書かれています。
 逆にあまりにも淡々と書かれすぎているのではないかと思うのですが、それくらい魅力やエピソードや業績に乏しい皇帝であったのかという風に捉えるべきかも知れませんね。これまでは、共和制から帝制へと形を変えながらも帝国の安定と繁栄の道を右肩上がりに築いてきたローマですが、このあたりから確実に坂道を転げ落ちていくのでしょう。

ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉 (新潮文庫)