小説・漫画好きの感想ブログ

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ローマ人の物語29 終わりの始まり(上) 塩野七生

 こんばんは。
 外に出たので、北野勇作の「ウニバーサルスタジオ」や、夢枕獏の「沙門空海 唐の国にて鬼と宴す」、森博嗣の「イナイ×イナイ」などもち帰りました。
 今は、家でダウンタウンの番組見ながらブログ書いています。
 貴乃花親方、まずいタイミングでテレビでていますが、朝青龍の話ふられなくて良かったですね。元モー娘。の矢口真里さんは、ひさびさに見ましたがやはりずば抜けて可愛いですね。この顔で、一日中、全裸で過ごしているだなんて。それはそれでちょっとひきますが^^
 あぁ、ギリシャの放火による山火事はまだ燃え続けているようですね、はやくおさまって欲しいです。
まま、それはさておき。
 
 今日紹介するのは、塩野七生さんの「ローマ人の物語」29巻です。
 文庫版なので、なにげに凄い巻数になっていますが、ハードカバー版でいえば11巻である「終わりの始まり」を三分割したものの最初の巻です。ローマの歴史を著者の考察を交えつつ、始まりからずっと綴ってきた「ローマ人の物語」もいよいよローマ帝国の衰亡の始まりにさしかかりました。
 今回登場する皇帝は、五賢帝の最後を飾る「哲人皇帝」マルクス・アウレリウスプラトンの言を待つまでもなく、ユリアス・カエサルから始まった皇帝たちの中でも、歴史上で最良の皇帝としても名高いのがこの人物ですのでご存知の方も多いでしょう。
 しかし、このマルクス・アウレリアスの御世から、ローマが衰えていったのではないかというのが著者の考察です。一般には、彼ほど有能で評価の高い皇帝はいません。常に思索をなし、公正であることに勤め、パルティアを完膚無きまでに叩き平和を達成し、子供を二十人近く設け、よき人、よき夫としても皇帝同様に責務を果たした彼は間違いなく、現代ローマでも評価されている人物です。
 しかし、それでも塩野さんは、彼が即位の前に二十三年間、17歳から40歳までの間、アントニヌス・ピウスのもとで次期皇帝として存在していた期間に、平和を享受するだけに何もしなかった事がその原因ではないかと考察します。あまりに平和な時代だったからこそ、史料もほとんどない時代だけに、全てが推論の上での話ですが非常に考えさせられるテーマだし新しい切り口だと思います。
 どうして、千年帝国とまで呼ばれ、他民族国家として完成されつくした感のあるローマが滅びたのか。
 そこを考えていくのは歴史好きとしては非常に楽しい作業です。
 今迄のローマ史を振り返りながら、本当にそうなのか、もっと違う要素はないのか、例えばキリスト教徒は? 民族としての意識や帝国としての意識(このあたりは非常に面白いもので、大英帝国が健在の頃、インドや中国では英語が通じたにせよインド人や中国人は決して自分たちを英国人だとは思わなかったでしょうが、この時代のギリシャやシリア人は自分たちをローマ人として捉えていました。この差が凄い)はどうか? 知的好奇心を刺激する一冊です。
 
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ローマ人の物語〈29〉終わりの始まり(上) (新潮文庫)

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