小説・漫画好きの感想ブログ

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怪傑ムーンは御機嫌ななめ J・イワノヴィッチ

 今日紹介する本は、とにかく元気が出る本です。
 このイワノヴィッチのバウンティハンター(バウンティハンターというのは逃亡中の犯罪者や、保釈金を払って一時帰宅したまま出頭しない犯罪者を捕まえる賞金稼ぎです)シリーズは、いきなりですが、まぁ下品です。
それでもって登場人物たちは自分の欲望(物欲はもちろんのこと、色欲もとんでもないレベルで濃いです)のままに生きている、まぁとんでもない小説です。けれど、それが汚らしくというかギトギトにならないギリギリのレベルでとてめられているので、読むとあまりの馬鹿馬鹿しさにひたすら笑い転げ、いろいろなことを気にしたり悩んだりするのが馬鹿馬鹿しく感じられるという、なかなか得難い小説です。
 個人的には、これはもう「抗鬱小説」と読んでもいいのではないか、なーんて考えてます。

『怪傑ムーンは御機嫌ななめ』
    J・イワノヴィッチ著   扶桑社ミステリ  海外ミステリ

 さて。そんなわけでシリーズ第七作ですが、またまた今回も主役のステファニー・プラムは厄介な逃亡者を追いかけることになります。なんといっても相手は60代のおじいちゃん。同じ町内に住んでいるし、大人しそうに見えるし、強いて問題をあげるなら、プラムの実のおばあちゃんのメイザとつきあっているという噂があるだけなので楽勝の依頼と思われました。しかし、捕まえるのに苦労はないどころか、捕まえようとしたら迷わず拳銃をぶっ放してくるし、車で彼女をひき殺そう襲って来ます。
 しかも、彼が逃げ去った家からは、死体が出てくるし、プラムのちょっとした友人(いつも薬でらりってて盗品ブローカーとして有名な二人組)は行方不明になるし、そのうちの一人がプラムの家に転がり込んできたことで
恋人のモレリ刑事はイライラが頂点に達してしまいます。また、そんなモレリとはりあうように黒人の逞しい傭兵、レンジャーがブラムに言い寄って来ます。
 まぁ、シリーズのメインキャラがハイテンションでプラムのまわりをうろうろしているというのが今回の物語のはじまりで、そこに逃げたおじいちゃんや、何故か彼女に脅しをかけてくるようになったマフィアや初登場のこれまたいかれたプラムのお姉ちゃんまで現れて、ハチャメチャで賑やかな世界が繰り広げられます。
 正直なところストーリー云々よりも、キャラクターの方がメインになってしまった感もありますが、それもまたよいかなと思えるくらい事件と関係ないところで話は盛り上がっています。
 下手なハーレクインロマンスより恋愛的にというかしもネタで盛り上がるこの小説ですが、不思議と笑いはからっとしていてじめついていないのでお薦めです。

快傑ムーンはご機嫌ななめ (扶桑社ミステリー)

快傑ムーンはご機嫌ななめ (扶桑社ミステリー)