小説・漫画好きの感想ブログ

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言葉の常備薬

 ちょっと動けるようになってきたので、今から病院に行ってきます。
 行きがけに 北方謙三の「水滸伝 11巻」と「EPISODE・G 12巻」、それから北野勇作の「ウニバーサルスタジオ」あたりを手に入れておきます。最近、本を読むペースが落ち気味なのでちょっとずつ補給を。病院というところは待ち時間が長いし、薬待ちも長いので。
 ということで、今日は薬という名前の本を(そういえば「読むクスリ」という本ありますが、あれ、誰か読んだことありますか? )

 本書は、呉智英という人の「正しい日本語シリーズ」の一番新しい文庫版です。
 このシリーズは、日本語にまつわるよもやま話のエッセイで、語源について突っ込んだり、いろんな新聞の論評や社説の言葉の使い方について話したり、ニュースの単語について話したりと色々です。中には、なるほどと感心したり目から鱗が落ちる話もけっこうあります。例えば、「和語」と「漢語」と「外来語」では同じ内容でも、受ける感じが違い、和語になるほど生々しく、外来語のほうに近づけばよそよそしくなっていくというような話はなるほどと思いました。
 実例としてあげれば、新聞からの抜粋によるものとしてこんな文章が挙げられています。
 
「女性が自転車の女に追いかけられたと110番通報があった。女が女性に向かって『じろじろ見るな』などと怒鳴ったため、女性は近所の家に逃げ込んだという」

 これ、女性も女もどちらも同じ言葉であるはずなのに、二つを入れ替えることができません。女性はいいもので、女は悪者です。このような感じで、同じものを指す言葉でも「和語」「漢語」「外来語」でニュアンスが一定の法則でかわっていたりします。「話し合い」「協議」「コンフェレンス」とか。
 こんな感じのまじめな話や、ばかばかしい話が入り交じっています。
 そんな感じで、言葉で説明するのが難しい本ですが、短いエッセイが少しずつ入っていてのんびり読んで楽しめます。もっとも呉さんという人は、いろんな事に一家言あり、ときどきわりと厳しい皮肉を言ったりすることもありますが、その対象はしったかぶりの知識人に対してなので、矛先の向かないこちらは安心して読めます。
 

言葉の常備薬 (双葉文庫)

言葉の常備薬 (双葉文庫)