小説・漫画好きの感想ブログ

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呆然とする技術

『茫然とする技術』 宮沢 章夫著

 茫然とする、というよりはあまりのことに脱力してしまうエッセイがこの宮沢章夫のエッセイの大きな特徴になっている。もともとは、劇団を主宰したりする演劇作家さんなんだけれど、この人のエッセイはとても面白くて、『牛への道』という一冊以降、文庫で出るたびにこの人のエッセイは買ってしまう。
 (あ。まったくの余談なんですけれど、今回のエッセイの中で、その『牛への道』というタイトルがつけられた由来が明かされる話がはいっています)
 なんというか、目のつけどころが上手いんですよ。
 そんなことからここまで面白い展開をするかなぁと溜め息が出るほどに話を転がしていくのが上手いです。どうでもいいような事をとことんひっぱって話を膨らませていくこの人の語りにはまるとついつい吹き出しそうになってしまいます。 
 今回はいくつかの雑誌で連載していたものを再編集したものらしく、そのせいかかなりその雑誌にふさわしいネタが並んでいて、ちょっと話題が偏り過ぎているところが出てきていますが、それもまた面白くて、本当に笑わせてくれます。
 この感覚は、ちょっと文章でうまく伝えることができません。
 めちゃくちゃ短いエッセイばかりだから、本屋さんで手にとって読んでみていただく方が早いてす。
 たぶん、笑えます。
 ただし、飲み物を飲みながら読んだり、電車の中で読むのはちょっと恥ずかしい事態を引き起こしかねませんので、避けて下さい。もしおもいっきり牛乳やビールを吹き出したり、電車の中で変態と思われたくなければ、それだけは守って下さいね。
 そんなわけで、今日は脱力系の面白エッセイを紹介しました。

茫然とする技術 (ちくま文庫)

茫然とする技術 (ちくま文庫)