小説・漫画好きの感想ブログ

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万両ノ雪 居眠り磐音江戸双紙シリーズ23巻

 おはようございます、樽井です。
 昨日は、仕事の合間にですが佐賀北と帝京の一戦に手に汗握りました。高校野球は、阪神の死のロードの絡みもあったりでそんなに見ないんですけれど、昨日の熱戦は両校に本当にエールを送りたい試合でした。素晴らしい集中力とチーム枠でどちらが勝手もおかしくない、どっちにも残って欲しい、そんな戦いでしたね。
 さて。
 今日紹介するのは「万両ノ雪」という作品。これは、NHKで山本耕史でドラマ化になって少し話題になっている「居眠り磐音 江戸双紙」というシリーズの最新作です。佐藤雅美さんの「居眠り同心」シリーズとよくごっちゃになりがちで、たぶん書店員の方が混乱する問い合わせがたくさんきそうですが、別物です。まぁ、著者の佐伯泰英さんが最近では時代劇の旗手として有名になられているので大丈夫とは思いますが。
 シリーズ作品なので設定内容を簡単に説明すると、主人公の坂崎磐音は、居眠り剣法と称されるようなのんびりとした剣風ながら天才的な剣の腕前をもつ剣士です。また主君の覚えもめでたかったものの、藩の藩政をめぐる陰謀の中で、結果的に親友を失い、婚約者を失い、江戸に出てくることになった人物です。彼は、当初、鰻屋で鰻割きの下仕事をしたり日雇いの仕事をして江戸に暮らし始めますが、そのうち、用心棒の仕事でついた今津屋のおこんを始め、さまざまな人物と彼の人柄でよい関係を作り今に至っています。このあたりはあんまり詳しく書くと興をそぐので一巻から順に読んで下さい。
 で、肝心のこの巻ですが、前巻までの流れで磐音不在のまま、舞台は江戸で幕をあけます。
 しかも、南町奉行の年番与力の笹塚孫一がかつて6年前に探索に失敗した事件から幕をあけます。今では敏腕で並ぶ事なき人物といわれる笹塚がかつてしくじり、犯人を捉えるも別件での容疑での島おくりにしか出来なかった大次郎という盗賊の首領が、島抜けをしたというのです。狙いはその当時の押し込みで手にいれてどこかに隠した五千両の回収にあるはず。早速、笹塚は、彼をとらえる切っ掛けとなった女性の所に張り込むとともに、街道にふれを出して探索を開始します。。。
 あとの顛末は読んでいただくのがよいのですが、ひとつ言えるのは、そういう出だしで始まったはいいものの、主人公の磐音がなかなか出て来ません。数十ページを読み、80ページを越え、100ページを越えても主人公は登場しません。そのあたり磐音ファンはイライラするかも知れませんが、巻の終わりにはちゃんとドラマチックに登場するのでご安心を。
 ひょっとしたら、佐伯さんは、この巻では別の趣向をちょっとこらしたかったのかも知れません。
 ともあれ、23巻トかなり長い読み物になったこのシリーズですが、いよいよ主人公たちの身の振り方も確定し物語としては円熟期を迎えています。主人公同様、非常にとっつきやすい文体ですし、さらりと読める一冊です。

 あと、この23巻に限りですが、あとがきという形で、闘牛士の技と剣法を絡めた話がやく50ページほどおまけとして入っています。そういう意味では磐音シリーズの中ではやはりちょっと変わった一冊です。
 ちなみに、ドラマ、公式サイトは以下の通り。
  NHK木曜時代劇  http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/kagerou/index.html
 「居眠り磐音 江戸双紙」公式サイト  http://inemuriiwane.jp/