小説・漫画好きの感想ブログ

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沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二

 おはようございます。樽井です。
 明け方にふと目が覚めて、24時間テレビを見るともなしに見ていたのですが、うーん、正直つまらなかったです。
 子供のときはもうちょっと面白かったような気がしたのですが、芸人さんがたくさん出ていたものの、生放送で企画はぶつぶつぶつぎりでバースの打席がどうなったかわからずじまいだし、タッキー&翼のタッキーは相変わらずかっこいいのに相方はどんどん変わっていくなぁとしみじみ思うし、また爆笑問題のコントもあとで各方面から叩かれそうなネタだし、やれやれと思いながらずるずると眠れず起き続けです。
 おかげで普段なら見ない皇室関係のテレビまで見てしまいました。そう。その番組の中で思ったのですが、なまずの殿下の秋篠宮殿下はあいかわらず若々しいですが、皇太子殿下や天皇陛下はずいぶんとお年を召してられましたねぇ。なんか一気に時代を感じちゃいました。まぁ、秋篠宮の眞子さん(こういう書き方をするとまたそれはそれで怖い方に睨まれそうだけれど、様づけというのもかえってなんだか違和感感じます)が本当にかわらしい女子高校生になられてるんだから、そりゃあ時代は流れてるわけれどね。正直、ずいぶんと整った顔のお嬢様になられていたんで、本当に時代を感じてしまいました。
 さて。前ふりはそれくらいにして。読書感想です。

 前回レビューを書いた巻ノ一の続きです。
 この二巻では、いよいよ前巻でネタ振りされていた、唐の都で動き始めた何者かの呪いのその根源がじわじわと明かされていきます。
 のちに長恨歌で知られる白楽天、そして日本からの留学僧としてきていた空海、橘逸勢の前に、その中核が示されていきます。秦の始皇帝の廟の側の地下に埋められた大量の兵馬俑を動かした呪い。夜な夜な都掲げられる現皇帝の死の予言。それらの大本にあるものとして、玄宗皇帝と楊貴妃との話が語られ始めます。
 その全貌はこの巻の最後に、阿倍仲麻呂から李白へとあてた書簡という形で読者に知らされます。ネタバレになるのでここでは詳細伏せますが、そこには安禄山の乱でいったんは都落ちしていく玄宗皇帝や楊貴妃たちの旅の途中で有った事が語られます。史実では、楊貴妃はその途中で皇帝陛下おつきの宦官の高力士に楊貴妃が殺されたことになっており、そこに墓陵もあるのですが、この物語ではそこで一つの事件が起こります。
 日本で多々見られる、実は楊貴妃は日本に渡っていたというそういう単純にネタバレするような事ではなく、とある事件が起こります。
 そこが、彼らの生きる時代に影響を与えており、というのがこの「空海」物語の物語世界です。実在の人物、架空の人物、実際の事件、全くの虚構、巻を進めるごとにさらにモザイクに虚実織り交ぜながら語られる空海とその周囲の面々の物語が、より幻想的伝奇的様相をこの巻からは見せ始めます。
 また、空海の物語を通して、夢枕獏という作家が深くはまりこんだ仏教的世界がここでは前面に押し出され始めます。仏教世界といっても、密が主体の考えですが、彼が「涅槃の王」で示したそれを更に前面に出て来ています。他の夢枕作品においても、この考え方は結構キーになるポイントなので、そういう意味ではこの本は夢枕獏作品に入っていくいい入門書かも知れません。
 全部で四巻組ということなので、折り返しのこの第二巻ですが、次巻一気に話が動くための舞台が整ったところまで話は見えて来ました。次巻がさらに楽しみになる一巻でした。