小説・漫画好きの感想ブログ

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泥棒はライ麦畑で追いかける

 おはようございます。
 よく考えたらもうじきエアコンの設置の人がくるのでした。
 いよいよこのリビングも快適空間に生まれ変わるのかと思うと、ちょっと嬉しいですね。あとは、引っ越し後の部屋配置で必要なのは、ふかふかの白革ソファに、DVDレコーダーかなぁ。話題の厚みが1センチをきる壁掛け超薄型テレビもほしい気がするけれど、さすがに50万も出して迄それはいらないか。でも、少しずつ部屋が快適になっていきます。今迄の引っ越しで一番いい部屋になりそうです。
 さて。
 
 今日紹介するのは「泥棒はライ麦畑でおいかける」という作品。
 ミステリ界のもう大重鎮のローレンス・ブロックさんの、シリーズです。同じローレンス・ブロックさんの「マットスカダー」シリーズは、元アル中、元警官のハードボイルド的な探偵ものなんですが、こちらのシリーズは主人公がひたすら楽しい人格をしているのと、シチュエーション・コメディのようなノリがすごく楽しい、楽しめるミステリシリーズです。
 主人公は、表向き古本屋を営むバーニィ・ローデンバー。彼は、生まれついての泥棒で、泥棒のスリルを忘れられず、職業的な泥棒を続ける泥棒です。職業的な泥棒というのは変ですが、彼の場合は、粗暴なところは全くといっていいほどなく、温厚で、何があっても殺人なんか出来ず、いつも人がよくていろいろなことに巻き込まれていますから、そういうしか形容のしようがありません。そんなところを利用されてか、いつもまずい事態になっても警官のレイと利益を折半することで持ちつ持たれつの関係を保っています。
 そのバーニィのところに、今回はとある超有名小説家の書簡を盗むようにという依頼が来ます。
 依頼をもってきた少女は、まだローティーンの頃にその有名小説家のところで同棲していたことがあって、彼のことをよく知っているのだが、彼の手紙がエージェントから売りに出されているのでその前に盗み出してほしいという依頼をもってきます。まるっきりの善意から、ということで依頼をもってきた彼女に、バーニィは動きます。本来であれば、儲けにもならないそんな仕事は断りたいところなんですが、その作家の小説にはバーニィも大いにはまり、人生を変えられたと思っていたので恩返しにと動き始めます。
 しかし、その本を盗みにエージェントが泊まる部屋へ忍び込んだバーニィが目にしたのはちょっと予想外のものでした。だんだんとぬかるみ、泥沼、笑うしかない状態に追い込まれていくバーニィは果たしてどんな起死回生の策で事態を切り抜けるのか。。
 プロットとしてはよく出来ていると思います。
 ただ、ここからはちょっと苦言になっちゃうんですけれど、この小説の中での超有名作家というのが、「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーであり、実際にあったサリンジャーまの手紙を巡る騒動やスキャンダルを下敷きにしているのが透けすぎて(というよりはそれを下敷きにしていることくらいは全員がわかっている前提でのお話ではあるんでしょうけれど)、僕的にはそのあたりどうかなと思わずにいられなかったです。有名人物やら本が出てくる話でも、これの一作前の「泥棒はボガードを夢見る」だとか、別作家になりますが「死の蔵書」なんかは面白いと思えますが、それはあくまで作品の中の小道具にそれらが使われているからであって、実在の人物の事件そのものを取り入れるのはどうかなぁと。
 「ライ麦畑でつかまえて」は少し前に村上春樹さんが「キャッチャー・イン・ザ・ライ」というタイトルで新訳を出していたんで読んだ方もおられると思いますが、アメリカをはじめ世界的に有名な十代の読者向けの優れた青春小説という評価が定着している作品で、サリンジャーがこの作品中の人物同様、徹底して世間に出てこない人なんてそういう事件が派手な騒動になったんだろうとは思うんだけれど、それを作品にいれちゃうのは本当にどうかなぁと、あくまで樽井は思います。
 その辺がちょっと乗り切れなかったです。
 ただ、シリーズそのものは面白いので、このお盆にも次のシリーズ新作「泥棒は深夜に徘徊する」ももう購買済みですので近々感想等アップする予定です。
 
 あ。全然別のシリーズというか単品になるんですが、ローレンス・ブロックさんは最近創元推理文庫から「怪盗タナーは眠らない」が出ていますが、こちらは無条件にダメダメだなぁというのが正直な感想です。まるでジャンプの一発ネタ、連載10週打ち切りパターンのような感じです。

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